藤田嗣治展のカジュアルな楽しみ方。おひとりさまの日曜日、上野・東京都美術館

藤田嗣治展に出かけたときのコーデ 暮らしのエッセンス

春から心待ちにしていた藤田嗣治(つぐはる)展の鑑賞に東京都美術館へ出かけました。藤田氏の作品を観るのは実はこれが初めて。色の奥行き、服や布、肌の質感の豊かさに、ただただ圧倒された午後の日曜日でした。

きっかけは黒いドレスの女。

うだるような暑さの8月の日曜日、上野公園の蝉しぐれをくぐり抜け、一路東京都美術館へ。

春にプーシキン美術館展で訪れた際に、漆黒のドレスを着た女性が描かれたパンフレットを手に取りました。

「カフェ」と命名されたその作品を描いたのは、晩年にフランス国籍を取得後、クリスチャンの洗礼を受けてレオナール・フジタとなった画家の藤田嗣治。

今夏、氏の没後50年をしのび、過去最大規模の展覧会が東京都美術館で開催されるといいます。今思えば一枚の女性の絵をきっかけに、フジタの回顧展の開催を知ることができたのは幸運なことでした。

東京都美術館の藤田嗣治の巨大ポスター

フジタを知ることになった「カフェ」の漆黒のドレスの女性

マッシュルームカットにちょび髭、丸メガネにピアスという、一度見たら忘れられない風貌のフジタ。昭和初期にこの出で立ちですから、当時の人たちへの衝撃はかなりのものだったはず。今このスタイルで表参道を歩いていても違和感ない感じです(笑)。

それまでフジタについては「なんか見たことある」程度の知識しか持ち得ない私でしたが、あまり先入観を持たずに作品の世界を楽しみたいと思い、画家自身や彼の作品についてはあえて調べずに美術館へと足を運びました。

美術鑑賞ファッションは作品の色からインスピレーションを得る

藤田嗣治展でのファッション

この日のトップスには昨年購入したアーバンリサーチドアーズの黒の薄手ブラウスを選びました。フロントがカシュクールのようにクロスされていて、気になるお腹周りが絶妙にカモフラージュされる優れもの。

そこにローズバットのビーズネックレス、いつものINDIVIのブルーガウチョを合わせて。

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2018.07.06

このコーディネートは告知パンフに掲載されていた「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」に触発された組合せ。画中の女性がまとっているブルーのドレスと背景の黒にインスピレーションを受けて選んだものです。

美術鑑賞に特別なルールはないけれど、あえて自分の中でドレスコードを決めるのも楽しい。展示作からテーマカラーを選んで、フジタの世界に溶け込もうという作戦です。

初めて目にしたフジタの絵画。描かれた服や布の色と質感に吸い込まれる。

藤田嗣治展のポストカード
絵画の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、私なりの楽しみ方として、そこに描かれた服飾品や室内装飾をじっくりと鑑賞することが好きです。

作品全体を通して印象に残ったのは、青い布地の色合いの深み。

この日のコーディネートの元となったエミリー・クレイン=シャドボーンのドレスの青や、「花を持つ少女」の紺碧(こんぺき)に一滴墨汁を垂らしたような深い青。その美しさに、しばし絵の前を離れらずにいました。

思いも掛けない色合わせに巡り逢うこともまた楽しくて。チェストの上の所持品を描いた作品では、ビスクドールの服の柄に使われた色が素敵で、じっと観察してみたり。背景に丁寧に描きこまれたジュイ布の絵柄の細かさや、ベルベットのようなクッションの質感に感心したり。

作者の意図とは関係のないところで随分と楽しんでしまいました。それもアートのカジュアルな楽しみ方かと。

放っておくと作品に感情移入しすぎて涙がボロボロ出てしまうので、そうならないよう、今回はあえて綺麗なものにフォーカスしてフジタ作品を堪能してきました。

藤田嗣治展は2018年10月8日まで上野・東京都美術館にて開催

そうそう、この展覧会で知ったことですが、フジタって、恋多き人だったんですね。生涯で5人の妻と連れ添った画家はそう多くはないのでは?

芸能人のゴシップには興味がないけれど、彼の作品のモチーフとなった女性たちには興味があります。どんな経緯で出会って、彼女たちのどこに惹かれて、どんな暮らしを送っていたのか?

彼と一時代をともに過ごしたことで、女性たちはいつまでもその美しい姿を絵画の中に留め、後世の人々から讃えられ続ける。フジタとの結婚生活は幸せなことばかりではなかったかもしれないけど、永遠の美しさを手に入れた彼女たちが少し羨ましかったりして。

藤田嗣治展は上野の東京都美術館にて2018年10月8日まで開催中。秋が深まる頃、もう一度あの青に会いに行こうかな。

藤田嗣治展 公式ホームページ