200%売れないと思っていた田舎の空き家が売れた!どんな家でも欲しい人はいる。

暮らしのエッセンス

長らく放置されていた祖母の空き家がついに売れたと父から聞かされました。祖母が亡くなってはや4年。誰も住まなくなった築40年以上の田舎の古家が売れるなんて!世の中には色々なニーズがあるものだと驚かされた出来事でした。

人口5000人未満の田舎町にある一軒家。築40年以上、汲み取り、バランス釜の古家を相続することになったら?

かつての祖母の家は実家の数十メートル先にあります。

若くして重い病にかかった母のお世話のために、定年後、住み慣れた街から引っ越してきた祖父と祖母。オンコ(イチイ)の木と岩を配した広い前庭に、木造の大きな納屋のある、ありふれた昭和の一軒家でした。

祖母は祖父が亡くなってから介護施設に入るまでの数年間、1人でこの家に暮らしていました。

その祖母も亡くなって、関東に住む叔父が祖母の家を相続することに。一番近くに住んでいた私の母はすでに他界しており、長男である叔父にお鉢が回ってきたのです。

ここで問題になるのが田舎の古家をどう処分するのかということ。

私や弟、孫である子どもたちにとっては、小さい頃の思い出が残る懐かしい「おばあちゃんの家」ですが、このまま置いておくという選択肢はありません。家を引き継いだ叔父の自宅は関東にあるため、古家のメンテナンスにも限界があります。

実家が過疎地ということのリアル。親の不動産が負動産に…

山あいの町
当然のごとく叔父も売却を考える訳ですが、そこは雪深い北海道の片田舎。今後さらに人口の減少が見込まれる過疎地に建つ家です。

土地値もあってないような田舎町の、築40年以上の一軒家なんて、一体誰が買ってくれるのか。

天国の祖父と祖母には悪いけど、祖母の家を相続することになってしまった叔父が気の毒でした。

誰も住まない古家のために、毎年固定資産税を払い、雑草や除雪の心配までしなければならないなんて。もし叔父の代で処分できなかったら、いとこが引き継ぐことになるのかしら…。

田舎に実家のある人間にとって、不動産を相続するということは、いつまでも処分できない「負動産」を背負い込むこと。

叔父の一件は人ごとではなく、父方の祖父と祖母が残した家の処分(今は格安で賃貸中)や、父が高齢になったときに実家をどうするかといった問題は、そう遠くない将来、自分も必ず直面することになります。

祖母の家の行く末が気になり、折にふれて父にたずねずにはいられませんでした。

祖母の家、町の空き家バンクに登録される。

祖母の家はその後、町の空き家バンクに登録されました。

北海道空き家情報バンク

空き家バンク情報
都道府県別の空き家バンク以外に、市町村独自のサイトがある所も。「(市町村名) 空き家バンク」で検索してください。

早速サイトをのぞいてみると、近隣の市町村の空き家情報もいくつか掲載されています。

以外だったのは、「えっ、この場所のこの家⁇(←失礼)」という、地元民でも敬遠しそうな不便な地域の古家でも、かなりの確率で「成約済み」となっていたこと。

場所柄や家の状態から、いくらで取引されたのかは想像に難くありませんが、「田舎の空き家は絶対に売れない」という私の固定観念は見事に打ち砕かれました。

とはいえ、空き家バンクに掲載された祖母の家は、外観の画像が数点あるのみの心もとないもの。物件の詳細欄には「築年数不明」という恐ろしい一言まで…。一体どんな人が購入してくれるのか、見当もつきません。

父から伝え聞いた叔父の情報によると、空き家バンクに掲載されてから数件の引き合いがあった模様。残念なことに、いずれも前庭の大きな石や木が車の駐車の邪魔になるという理由から話が流れてしまったようでした。

このまま売れずに廃墟となる運命なのか?
結局近くに住む父が古家の面倒まで見ることになるのでは?

明るい想像が何ひとつできずに、気づけば2年近くの時が流れていました。

忘れかけた頃、ついに売れた祖母の家。買ってくれたのは同じ町の人。

黄色のバラ一輪
今年のお盆は旅行の予定が入っていたため、7月に一足早く両実家に帰省することになった我が家。父と2人きりの場面で、「おばあちゃんのうち、あれからどうなったの?」と何気なく聞いてみると、父の口から「売れたんだわ(北海道弁)」という信じられない一言が!

(心の叫び)「マ、マ、マジっすか〜⁇」

またしても「田舎の空き家は売れない」という思い込みが音を立てて崩れていきます。

祖母の家を購入してくれたのは同じ町の人で、自分が住むのではなく、雇った人の一時的な住まいにするとのこと。家の前を通りがかって気になっていたのだとか。

いやいやいや、通りがかるって、2軒先は山だし(笑)!

車の往来なんて、その2軒のお宅と向かいの1軒、郵便屋さんや運送会社のトラックくらいなもの。まさか直接あの家を見て欲しいという人が出てくるとは…。

父も叔父から詳しいことは聞かされていないようなので、わかったことといえばそれだけですが、これでとにかく一安心。実家に帰るたび、朽ちていく祖母の家を見ては心を痛めるという最悪の想定は杞憂に終わりました。

実は私の知らないうちに主人と娘が祖母の家まで散歩に行ってドアを開けようとしたらしく、「鍵がかかってたんだよね〜」と言っていたのはそのせいだったのだと合点が行きました。いつもならお仏壇に参れるように父が鍵を開けてくれているから。

それってもう不法侵入じゃん、と思ったら、ちょっと悲しくなってしまった。

あんなに「ずっと売れなかったらどうするんだろう?相続してない私が、実家が近いってだけで管理しなきゃいけないのかな?」なんて薄情なことを考えていたのに。

あの家には確かに優しいおじいちゃんがいた。怖いけど頼りになるおばあちゃんがいた。邪魔者扱いされた大きな石の影には、夏になると花好きのおじいちゃんが植えたバラがいい香りを漂わせていた。

もう祖母の家に入ることはないけれど、願わくばあのバラだけでも、そのままの場所で咲き続けてくれますように。